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金曜日。仕事から帰ってきた俺は御飯を食べていた。
妹「兄者、酒飲んでない?」
私「まだ飲んでないけど、何で?」
妹「雑誌買いてえから付き合えって言ってんだよ!」
私「そんなのわかるかバカ!」
妹「早く用意しろよ」
私「飯くらい食わせろ」
妹の急な発言から本屋に行く事になった。一体何を買うのかは分からないが、相変わらず態度がでかい。それが人にモノを頼む態度なのか・・・などと問い詰めたいところだが、まあそれはいつもの事なので特に気にはしていない。しかし、今週は1日しか休みがなかった上に今日は急な仕事が入って少々お疲れちゃんなわけで、その辺を表情から少しくらい読み取ってくれてもいいものだと思うわけだが・・・まあでも、今月号の電撃大王を買いたかったし、こいつと喋っているのは結構楽しいから一緒に行くのは別に悪くはない。
妹「早く行こうぜ」
私「お前、寝巻きじゃねえかそれ」
妹「え?いいんだよそんな事は」
私「寒いんじゃないか・・・」
妹「兄者もビーサンじゃん」
私「え?これはほら・・・アレだよ」
・到着
妹「寒いって、マジ寒い」
私「だから言ったじゃないか」
妹「あーもう!私のとこだけ風吹いてるんじゃねえの!」
私「またよく分からんことを・・・」
・店内
妹「へっへっへ、これだよこれ」
私「ちゃんと金は持っているんだろうな」
妹「あ?今日は持ってるよ、なめんな」
私「ほう、珍しい事もあるもんだ」
妹「見ろ!ここに・・・えっと・・・480円」
私「雑誌には530円と書いてあるが」
妹「・・・」
私「・・・」
妹「金貸して」
私「帰ったら返せよ」
妹「は、何言ってんの?これが全財産だよ!」
私「そうか・・・バイト代が入るのはもう少し先だったな、しかしどうしてそんな偉そうなんだ」
妹「分かんない。ほら、買ってきてよ。私はここで立ち読みしてるから」
私「これで貸しは350円だ」
妹「細かいなあ〜、だから運が悪いんだよ」
私「ほっとけ」
明らかに異色な灰色のジャージ上下で本を立ち読みしているその後姿は、まるでネタ詰まりで家から抜け出してきた漫画家のようである。しかし普通に従ってしまう辺り、なんと言えない部分がある
私「ほら、買ってきたぞ」
妹「よし、早く帰ろう」
しかしこいつ、改めて考えてみても我が妹ながらよく分からん奴だ。とりあえず事あるごとに「金」という発言をする事だけは分かっているわけだが・・・まあそれだけ分かっていても何にもならないのは、「計算だけ速くても数学ができない」のと似たようなもので・・・ん?じゃあつまり俺はほとんどこいつの事を分かっていないってことか・・・いや、実際そうなんだが・・・しかし18年も一緒に生活してきてそれはどうなんだろうか。最近の家族は会話がないとかどうとかそういう事をよく耳にするが、ウチも結局それと同類って事なのか・・・・・・。まあとにかく、時折出るその意味不明な言動に俺は踊らされている事だけは紛れもない事実、それだけはしっかりと理解していてもらいたい。
・帰りの車内
私「眠いな、コーヒー飲みたい」
妹「帰って飲めばいいじゃん」
私「待ってくれ、正直言おう、さっぱり分からない」
という事で、今日はちょっと某キョン風に書いてみましたが・・・何か絶妙に微妙な気がします。でも書いてて面白かったので思い出したようにまたやってみようかと思います。