きさらぎ賞

過去10年間、勝ち馬には3頭のクラシックホースを始め、その後も重賞戦線で活躍した馬の名前が並んでいます。特に去年は、掲示板に載った馬すべてがその後重賞で連対するという非常にハイレベルなレースでした。(7着のファイングレインNHKマイルCで2着)

さて、今年のきさらぎ賞。注目されそうなのは新馬戦を圧勝したオーシャンエイプス。1戦しかしていないので評価が難しいところですが、ちょっと色々調べてみました。



【検証その1】新馬

97年以降、中央の競馬場(時計の出る新潟は除く)で2〜3歳時の新馬戦・芝1800m〜2000mにおいて、上がり34.5より速い時計で圧勝した馬(約3馬身:0.5秒以上)を挙げます。やや細かい条件ですが、速い上がりが使えるということは騎手からの反応がよく切れ味があると言うこと、新馬の時点でそういった反応ができる馬はその時点で完成度が高い、もしくは能力が高めです。さらに快勝(3馬身以上)していればそれ以上が望める可能性があります。(「強い→上がりが速い」ではないと思いますが(ダイワメジャー他)、「上がりが速い→強い」は割に当てはまります)ただ、後ろから行けば速い上がりが出るのは当然なので、さらに4コーナーで5番手以内という条件を加えると残りは8頭。

・該当馬

34.3 ヴィクトリー(重賞2着)←まだ2戦のみ
34.3 マルカシェンク(重賞1勝)
33.1 ディープインパクト(重賞10勝)
33.8 ヴァーミリアン(重賞1勝)※芝のみ
34.3 イントゥザグルーヴ(なし)
34.5 ハイアーゲーム(重賞1勝)
34.0 ファインモーション(重賞5勝)
33.8 アグネスタキオン(重賞3勝)

極端に時計の遅かった(2000m:2分7秒0)イントゥザグルーヴを除けばすべてが重賞級ということが分かります。彼ら7頭の2戦目の成績は4−3−0−0。



【検証その2】馬場状態

その他のファクターとしまして当日の芝状態から検証を。

1月21〜22日の芝のレースは8レースありました。雨も降っていないので土日ともほぼ同じ馬場と考えていいと思います。

・土曜
1:37.3 芝1600m 3歳未勝利
1:49.8 芝1800m 3歳新馬オーシャンエイプス:34.3)
2:05.2 芝2000m 若駒S(3歳OP)
1:34.9 芝1600m 石清水S(準OP)

・日曜
1:49.9 芝1800m 3歳未勝利(オーシャンクルーズ:35.4)
1:37.2 芝1600m 3歳新馬
2:02.5 芝2000m 500万下
2:28.4 芝2400m 1000万下

並べてみると、全体的に時計がかかり気味です。

分かりやすく、石清水Sを例として持ってきますと(マイルの準OP戦はある程度の実力馬が集まっているので極端にペースが遅くなることがほとんどありません、多頭数なら尚更)、レース自体が若干スローだった感は否めませんが、通常なら1分33秒台が出てもおかしくないレースレベル(去年は1分33秒4)。そこで1分34秒9という事は、やはりこの日は時計が若干かかっていたと見ることができます。(1秒〜1.5秒ほど)

という事で、1分49秒8というタイムも、通常なら1分48秒8〜1分48秒3は出る可能性があった。さらにこの馬は加速してからはほとんど追っていませんので、これ以上を走れるレベルにあったと言っても言い過ぎではないように思います。

以上から、スローペースとはいえ、自ら動いて11.6-11.4-11.7の流れを上がり34.3でまとめて圧勝したオーシャンエイプスの能力・完成度はかなりのもので、いきなりの重賞でも好勝負は可能と見ます。




1 1 クリノアドベンチャ 牡3 56.0 幸英明

単勝が何倍つくか意外にみどころはない感じです。だいぶ厳しいです。



2 2 マルカラボンバ 牡3 56.0 川原正一

クリノアドベンチャよりはマシですがやや距離も長くローテも強引です。でも母父ヘイローは色々凄い血統です。



3 3 ナムラマース 牡3 57.0 ペリエ

初勝利は5戦目でしたが、距離延長による要因が大きかった模様。初勝利後はコスモス賞札幌2歳Sと芝1800mで連勝し、前走は不利がありながらもフサイチホウオーから僅差の3着、休養明けなどを考慮すれば上々の内容でした。速い上がりが課題となりますが、札幌での3連勝中で常に最速の上がりをマークしているように、馬場の問題で上がりがかかっていたに過ぎず(昨年のアドマイヤムーンがわかりやすい例)、34秒台までは普通に使えると思います。そして何より3戦3勝の芝1800mが好材料、1kg増でも好勝負可能と見ます。



4 4 オーシャンクルーズ 牡3 56.0 本田優

数字以上に直線の切れ味が鋭い同馬。かなり不器用なので、広いコースでこその馬。前走は大外を回しつつも前を豪快に差し切る強い内容でした。しかし、3走前で見せた切れ味こそがこの馬の真の持ち味であり、速くなりそうもない今回は大いにチャンスあり。2000mで敗退し、距離短縮の1800mで勝ち上がっている点も推せます。



5 5 サムライタイガース 牡3 56.0 安藤勝己

前走でオーシャンクルーズに勝ってはいますが、非常に楽をして勝利した内容。レース内容自体はオーシャンクルーズの方が負けて尚強しの内容でした。いいトコ掲示板かと。



6 6 オーシャンエイプス 牡3 56.0 武豊

もろもろの理由から問題ないと思います。速いペースになった際はまだ分かりませんが、そういう展開にもならなそうなので、今回に限っては軸としてかなり推せます。



7 7 アサクサキングス 牡3 56.0 四位洋文 大久保龍

2戦目の内容が非常によく、時計の出る馬場だったとはいえ1:47.5の好時計で勝利。2着に京成杯勝ち馬のサンツェッペリンがいる辺り、その実力は確かだと言えます。前走は出遅れでスタートから脚を使い、さらに直線では前を塞がれる不利、その結果としての5着を実力と判断するのはあまりに早計です。34秒台の脚を使ってはいますが、切れるというよりはむしろ長くいい脚を使うタイプの印象で、阪神から広い京都コースに変わるのは好材料。ただ、有力どころでは一番前をいくと思われ、有力2頭の目標とされる分やや評価を落とします。



8 8 アドマイヤヘッド 牡3 56.0 岩田康誠

成長力に疑問が残りますが、前2走は遠征と出遅れが敗因と見ることもできます。遠征なしの今回は、新馬戦で京成杯・2着のメイショウレガーロを競り落とし、札幌2歳Sナムラマースの2着だった地力を少し評価してみたいところ。





本命はオーシャンエイプス

圧倒的かどうかはまだ分かりませんが、実力を秘めている可能性は十分あります。騎手の関係上人気をかぶりそうではありますが。


対抗はナムラマース

冠名のせいで地味な感じですが、実力は確かです。成長次第では一級線で全然やれます。


3番手はオーシャンクルーズ

スローの決め手勝負なら割って入る可能性も・・・。


抑えはアサクサキングス・アドマイヤヘッド。



オーシャンエイプス
ナムラマース
▲オーシャンクルーズ
アサクサキングス
△アドマイヤヘッド

25% ◎→○
15% ◎→▲
10% ○→▲
50% ◎○▲△△BOX

100%=2000

1着 エイプス マース 

2着 エイプス マース クルーズ

3着 エイプス マース クルーズ キングス ヘッド

計12点(各100)

1着 エイプス 

2着 マース クルーズ

3着 マース クルーズ

計2点(各300)

合計3800





非常に長かったですが、こういう分析ができるから競馬は面白いわけです。ダイヤモンドSはスタミナ勝負の差し展開でグラスポジションがちょっと面白そうですが多分買いません。